ウサギはBarに                    行けないちん。                         うんうん、                 行けないちんなぁ。


by anzou_s
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樽(北新地)

午後10時を過ぎていた。

Samboa Barからそう遠くない,樽というBarへ足を伸ばしてみた。
こちらも事前に本でチェックを入れていた場所だった。
しかしSamboaで情報を仕入れていなければ絶対に辿り着けなかったろう。
そのBarは雑居ビルの2Fにあった。

私が狭い階段を上っていると,上から華やかな服装の女性が
階段を駆け下りてくる。
このビルの中のクラブのホステスらしい。

私とすれ違うとき,彼女の片方のハイヒールが脱げ,少しよろめいた。
まるでシンデレラのワンシーンのように。
照れたような笑顔で私に軽く会釈し,また彼女はせわしげに
階段をかけおりてゆく。

木彫りの板に「樽」と書かれたドアを開ける。
うなぎの寝床のような横長の小さなBar。店内はとても賑わっていた。

『カクテル倶楽部』など多数の本を著し、
バーテンダー養成塾「和田塾」を主催する,
50年のキャリアを持つ名物マスターの和田氏がシェーカーをふるう店。
酒場という表現がピッタリのこの店を一目見て気に入ってしまった。

私は客の後ろを這うようにしていちばん隅のカウンターに腰掛けると
ギムレットの酔いを冷ませるよう,キティをオーダーする。

若いバーテンダーと頑固そうな年老いたバーテンダー和田氏。
しかしここはとても気さくな店だった。

私がバーのカウンターに腰掛けるとき,必ずすることがある。
まずは携帯と煙草とライターを,左脇に置く。
そして親父のおさがりのごつい時計をはずし,携帯の傍に置く。
これからゆっくりと飲もうというときの下準備だ。

携帯と煙草はすぐ鞄から取り出せた。しかし
煙草の火がみつからない。
しかたなく,バーテンダーに火を貸してもらうことにした。
すると若いバーテンダーは,
「これ面白いでしょう?お客さんがくれたんですよ」といって
星野仙一の人形の形をしたライターを差し出す。
思わず,「ここは大阪なんだなあ」と実感してしまう。

人形の野球帽をはずすと火がつく。そういうしくみになっているらしい。

何気なく,出されたキティを飲みながらバックバーを眺めていると,
いきなり店内の照明が全て消えた。
ちょっとビックリしたが,まわりの客はなんとも思っていない。
すぐに明かりがついて,若いバーテンダーが笑って,
「しょっちゅうストライキ起こすんですよ。ここの照明は」
となんとも思ってない様子である。
本当に日常茶飯事にブレーカーが飛んでいるのだろう。


私は出されたおつまみを食べながら,ここへきた「いきさつ」を話した。
すると,若いバーテンダーは,
「ああ,サンボアさんから電話で場所をお尋ねになられたのは,お客さんだったのですね」
そういうと,店の隅から写真を取り出してきてくれた。
それは,さも得意げに,そしてこの店のときに来る事が出来なかった客人を残念がった。


「移転する前は店の真中に大きな丸い冷蔵庫がありましてね,
それが店のシンボルのようなかんじだったのですよ。そう,これです」

写真には楽しげに笑う常連客が写っている。
その後ろに,ガラス張りのまるでショーケースのような冷蔵庫がどっしりと据えてある。
是非この店のときに行きたかったものだ。

少々酔いがまわっていた。
2杯目をシャーリーテンプルというノンアルコールカクテルにしてもらい,
それを飲み干す間,次のBarを紹介してもらう。

スコッチが好きだ。という話をしていたつながりもあって,
いいモルトがおいてある,という店を紹介していただいた。
「"Bar,K"と言うところが良いですよ。オーナーも気さくで,アイラの親善大使もやってます」

そう言われたら是非とも行かないわけにはいかなくなった。
なにせアイラ島のスコッチは大の好物だったからだ。

礼を言って勘定を済ませ,店を出る。
さあ,また歩こう。そしてBar,Kへ行こう。
こんなに一人でハシゴをするのは久しぶりだ。
何もかも忘れてわくわくした。
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by anzou_s | 2004-09-05 16:13 | My favorite Bar